八徳エコロジーパーク(八德埤塘生態公園)

開発理念

桃園県のため池はかつて、地域農民のための農業水利施設・灌漑用調整施設として切り開かれた。その数量は、桃園台地上の3345か所に分布し、水域面積は2709ヘクタールあり、独特の人文自然景観を形成していることから、このため池群は「千塘の郷」という美しい名前で呼ばれている。

桃園県のため池と水路網は百年の歴史があり、農業灌漑の機能以外に、治水、生態環境のネットワーク、レクリエーション機能など、この水域環境は、社会の変遷や人と土地の文化や歴史的意味も有している。

近年、農業社会の工業開発への移行や公共工事建設の需要により、ため池の数及び水域面積は激減し、ため池資源の保存や維持が簡単ではなくなっている。

そのため、桃園県政府はため池資源の保存や利活用のため「桃園県景観自治条例」及び「桃園県ため池水路保存と再生利用自治条例(草案)」を策定、ため池の新たな利活用モデルを示し、ため池と人との関係を見直し、県民の生活圏にあるため池の良質な環境や魅力を示すことで、ため池を守り維持していくこととなった。

企画設計の特色

1.ため池新生モデル地区全体発展構想を進める

休耕農地面積の増加により、灌漑用水の需要も減少、ため池の機能も低下し、雑排水の流入など、厳重な水質悪化をもたらし、ため池環境の消失や県民生活の品質の低下を引き起こした。

そのため、本公園は多様な水域活動環境やレクリエーション空間創出以外にも、自然工法による水域環境の復元が求められた。それに合わせ、本公園景観も農村風景や地方風土など土地の記憶を保存し、伝承していく場所として計画した。

2.国有地の再生、開放空間の創出へ

違法建築物を整理することで、開放空間を創出、敷地の緑化及びため池と公園を結合し、国有地の有効的に利用していく。

3.省エネルギーと低炭素社会へ

ため池の生態池への再整備や透水性舗装面積の増加、敷地の積極的な緑化、水路の開放、構造物の簡易化及び合理的な緑化建築、資源の再利用など生態都市の目標を達成する。

4.地域の活性化拠点へ

休耕農地の増加による農民人口の流出のほか、地域産業の形態変化やため池利用の放棄など、地区の生活環境の質及び活力は低下している。本公園は地区住民に本来の生活を取り戻し、地区生活が活性化する効果を再び認識してもらう拠点となる。

所在地:台湾桃園市

用途:公園

延床面積:計1112㎡ 

公園面積:49000m2

構造・階数:RC造+木造/1階一部2階 サービスセンター、生態観察小屋など

協力:樂駝規劃設計有限公司、日商日亜高野景観規劃股份有限公司台湾分公司(植栽設計)、徐文哲建築師事務所(建築顧問)、立品工程顧問有限公司(水利顧問)

竣工:2008年7月

2009年 國家卓越建設獎 環境優良文化類

2010年 第二屆桃園城鄉景觀大賞