敷地は広島市南東部、広島市街を囲む丘陵地の山裾に開発されたニュータウンの中にある。小学校の校舎は敷地の北側に位置し、校舎を挟んで南側に広がる山並みと対峙する。階段状につくられた校舎と、南側の山並みが盆上の領域感をつくり出している。敷地南西側には高い擁壁があり、その圧迫感をやわらげるために屋内運動場を配置している。
南北に並列する2棟の校舎に挟まれた二つの中庭は、理科教室に面した「理科の庭」、図工教室に面した「造形の庭」とそれぞれ名付けられ、水路や小山を利用して授業の一環としてもつかわれる。
屋上庭園には、たんぼ、畑、草原、池などがあり、農作業、水生生物観察の場ともなっている。すべての教室は南側に半屋外廊下(開放廊下)をもち、そこからそれぞれの前庭に連続して、子どもたちの活動は教室から外部へと広がっている。壁や床に地場産の木材を使い、1,2年生には畳のコーナーを、高学年の教室には連続したオープンスペースを設けるなど、各学年ごとに子供たちの成長段階に応じた個性ある空間構成を持たせ、6年かけてゆっくりと一巡りする。
所在地:広島県広島市
用途:学校
延床面積:8677㎡
構造・階数:RC造一部S造/3階
協力:汀造園設計事務所(外構設計)
竣工:1998年3月
1998年 広島街づくりデザイン賞 大賞
2002年 第8回公共建築賞 優秀賞