津山洋学資料館

町並みに連続する

敷地は、旧出雲街道に沿う城東町並保存地区の中心部にあり、幕末洋学者箕作阮甫旧宅に隣接し、街道に面する旧町人地と奥の旧武家地からなる南北に細長い土地である。

洋学資料館は、周辺の家々のスケールと素材を反映する建物群の集合体とした。

特に、街道側の建物では、箕作阮甫旧宅との連続性を強調した。

庭を楽しむ洋学資料館

趣の違う3つの庭をつくった。

 広場:街道と資料館を結ぶ、内外の人々に親しまれる公園

 中庭:薬草が繁り、ゆっくりとした時間が流れる緑陰の庭

 薬草の小径:草花を楽しみ、木陰の散策を楽しむ遊歩道

資料館は、展示鑑賞だけでなく、庭を楽しみ、街を散策するための拠点となる。

テーマに合わせた展示空間

津山藩が輩出した洋学者たちの資料を展示する3つの常設展示室は、その歴史的テーマに合わせて、それぞれを特徴的なインテリアとした。

 江戸書院造と自然科学をモチーフとした華やかな空間

 箕作阮甫旧宅に代表される町家造風の落ち着いた空間

 海の彼方へ広がるイメージを表す伸びやかな空間

展示と空間が一体となって物語をつくる。

五角形の展示室

自然科学を対象としていた洋学、薬学にちなみ、植物に多く見られる形、五角形をモチーフとした展示室とした。

 五角形の平面は、好奇心を表す

 四角形にはない、求心力と囲み感があり

 六角形にはない、動きと発展性がある

洋学にまつわる素材

当時のオランダや津山に見られた素材やディテールを建物内にちりばめ、建物自体も展示物とした。これらの素材を当時の洋学者たちも目にしただろうか。

 レンガ積みの壁、デルフトタイル、ヒンダーローペン

 下見板の洋館、植物柄のハンドメイドの壁紙、ステンドグラス、

 磨きの漆喰、格子窓、黒漆喰、、、

所在地: 岡山県津山市

用途:博物館

延床面積:1395㎡      

構造・階数:RC造/1階

協力:方圓館、ペーパースタジオ(展示)

竣工:2009年

2011年 第2回JIA中国建築大賞2010 大賞