象設計集団

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津山洋学資料館

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「家の集合体からなる小さな集落」
敷地は、旧出雲街道に沿う城東町並保存地区の中心部にあり、幕末の洋学者箕作阮甫の旧宅に隣接し、街道に面する町家からなる旧町人地と、奥の旧武家地を貫く、南北に細長い土地である。
洋学資料館を、周辺の家々のスケールと構成を反映する「家」の集合体からなる小さな集落と位置づけた。旧町人地に属する「家」は町家の構成にならい、旧武家地にある「家」はその周辺の屋敷の構成に連続し、資料館の諸室は、それぞれの機能を持ち、多様な形と素材を持つ「家」として計画した。
◦観光案内所
敷地南端にあって、旧出雲街道に沿う観光案内所は、西隣りの箕作阮甫旧宅と軒を揃え、伝統的町家の要素を用いて、町並の連続性を感じさせる。ミュージアムショップと観光案内の機能を持ち、回廊、広場と一体となって、城東地区観光の拠点となる。
◦図書室
街道から入った広場に面する、白い下見板張りの「家」は洋学の図書館であり、どこかで見た明治の西洋館という風情を見せている。その内部空間は、旧資料館の木造棟のそれを想い起こさせる。高窓からは、くすのきの枝葉が見えている。
◦GENPOホール
やや大きな五角形の「家」は、長い敷地が少し折れ曲るあたりにすっぽりとはまる、明るい広場の様な部屋である。入口前のくすのき―GENPOホール―中庭の緑 とオープンスペースが連なる構成とした。天井の形と、壁を斜めに駆け上るような色タイルの列によって、動きを感じる空間とした。

「洋学の歴史を伝える展示空間」
津山と周辺地域は、江戸後期から明治初期にわたる100年の間に、多くの優れた洋学者を輩出してきた。小さな3つの五角形の「家」は常設展示室であり、津山洋学の流れにおける3つの時代に対応している。第一展示室では、洋学者達の人体に始まる自然科学への憧れを、第二展示室では海、空、世界への憧れを、第三展示室では海を渡り直接体験した文化の息吹を、展示物とともに「家」ごとの特徴ある内部空間によって表している。
初期に自然科学を対象とした洋学に因み、植物に多く見られる五角形をモチーフとし、ホールと展示室の形を決めた。五角形には四角形にはない囲み感があり、六角形にはない動きと発展性がある。また五角形はいくつか並ぶと大きな囲みあるいは渦状の空間が生まれるという魅力的な形態である。
そのようにして生まれたのが中庭と遊ギャラリーである。
3つの展示室の外側に沿うギャラリーは、外光の中で人々がくつろぎ、子ども達が壁の引出しの中から展示物を出し、手に取って机の上で楽しみながら学習する場所である。

「洋学の時代を表現する素材」
当時のオランダや津山に見られた素材やディテールを建物内外にちりばめ、建物自体も展示物とした。これらの素材を当時の洋学者たちも目にしたものであろう。
◦オランダの伝統的工芸
レンガ積みの壁、デルフトタイル、ヒンダーローペン
◦洋学とともに渡来した西洋館
下見板張り、植物柄のハンドメイドの壁紙、ステンドグラス
◦津山で受け継がれる町屋
磨きの漆喰、格子窓、黒漆喰、焼杉

「庭を楽しむ洋学資料館」
◦広場
街道と資料館を結び、色々な人々に親しまれる公園。小さな木戸によって箕作旧宅とつながる。洋学者達の胸像が会話する様に置かれ、いつの間にか人々は洋学の世界に引き込まれる。
◦中庭
いろいろな薬草と、津山の洋学者達にゆかりのあるエンジュ、ハシバミなどの草木が植えられ、八ッ橋の様な小径を歩きながら、人々は植物について学び楽しむ。北の空に目を向けると、丹後山の緑があり、中庭の緑と連続する。
◦薬草の小径
細長い敷地の東側を南北に行く遊歩道。
出雲街道から入る、城東町並保存地区の他の小路と同じ様に、独特の特徴を持ちながら街道と山側の道を繋いで、散策路のループが生まれる。

このように資料館は、展示鑑賞、研究だけでなく、庭を楽しみ街を散策するための拠点となるだろう。

受賞:第2回JIA中国建築大賞2010 大賞受賞

Data

  • 所在地 :
    岡山県津山市
  • 用途  :
    博物館
  • 延床面積:
    1,373㎡
  • 建築面積:
    1,425㎡
  • 敷地面積:
    3,439㎡
  • 構造  :
    RC造平屋 一部木造平屋
  • 構造設計:
    筬島建築構造設計事務所
  • 協力  :
    乃村工藝社
  • 施工  :
    栗本建設工業+田村工務店津山 JV
  • 竣工  :
    2009年05月